湯の谷川での鮭発眼卵追跡調査

昨年12月20日に湯の谷川(新潟県長岡市)で行った鮭の発眼卵の河床埋設放流の追跡調査を4月2日に行いました。
参加者は先日の埋設放流の作業に参加いただいた福田さん、他当会から加藤副代表、鈴木世話人、事務局杉山の4人でした。ご参加いただきました福田さんありがとうございます。
2月11日に加藤副代表が現地の様子を見に行った際は、カンジキを履いても埋設場所に行くのに30分もかかっていたので今回もまだあるだろうと心配していましたが、ほぼ無くなっていました。
参加した4人は、春の日差しを楽しみながら、12月に埋設した発眼卵が孵化して海へと下っていったことを期待しながら、埋設した場所へ向かいます。
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2月11日の湯の谷川沿いの通路

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4月2日の湯の谷川沿いの通路

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4月2日 発眼卵河床埋設放流をした場所の様子

しかし、川の崖の木に縛り付けておいた水温計のセンサーが途中から線が切れて行方不明になっていて、データが途中で切れていました。

温度計を回収する加藤副代表

温度計を回収する加藤副代表

湯の谷川水温計データ
回収した温度計の測定結果

回収した温度計の測定記録(1月の下旬あたりで記録が途切れているようです)

12月の埋設放流のときには、2つのハイバードボックスそれぞれに約800粒の鮭の発眼卵を入れて川底に埋めました。
回収時にバイバードボックスは、上部が川底から露出していたのですぐに見つかりましたが、一つは上のフタが壊れ、泥が中まで入り、残った発眼卵は真っ黒になって死滅していました。また、残りの一つも泥が中に入り、発眼卵の大半が死滅していました。
発眼卵が死滅したのは、ハイバードボックスの中に泥が流れ込み目詰りし、孵化して泳ぎ出るまでに十分な酸素が供給されなかったことが原因ではないかと想像しています。
現地ではハイバードボックスはすぐに見つかりました

現地ではハイバードボックスはすぐに見つかりました

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ハイバードボックス回収の様子

掘り起こし-8

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回収したハイバードボックスの中身(四角く青っぽいのが温度計)

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死滅して真っ黒になった発眼卵

しかし、バイバードボックスに入れておいた水温計より湯の谷川の水温データが得られ、これによると水温は結構高く、3月下旬で積算温度が1300度になることが分かってきました。
長岡市の気温(オレンジ)とハイバードボックス内の温度計で計った水温(水色)

長岡市の気温(オレンジ)とハイバードボックス内の温度計で計った水温(水色)

湯の谷川水温計と長岡市の気温

長岡市の気温データと水温データを比較すると、気温に引っ張られて大幅に水温が低くなることがなく、真冬でも7度前後を維持しています。
そのことから、この河川はやり方によっては発眼卵の埋設放流の試験地にふさわしいのではないかと感じています。
作業の後、現地の近くのレストランで昼食を取りながら、当日の結果やその対応などについて話し合いました。
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蓋が壊れてしまったハイバードボックス

 

  • 泥の対策として、ハイバードボックスのスリットを一部塞いだり、フィルターのようなものを取り付けてはどうか
  • 発眼卵は紫外線に弱いため、後で浮き上がって露出しないような工夫が必要(木の板などを上にかぶせて、光を遮ると同時に、雪の重みや流下物で壊れないようにする)
  • 泥や露出・破損の対策は河床埋設放流をする時期でなくても、テストできるのではないか
  • 河床に直接埋設放流をする場合、発眼卵が入る空間を確保して作業時に発眼卵が流れ出ないようにする工夫も必要
  • ハイバードボックスだけではなく、河床に直接埋設放流した箇所がわかるように目印をつけるなどして、それも追跡できるようにしてはどうか
今回の河床埋設放流は期待した結果にはなりませんでしたが、それでも今後継続していくうえでの課題も明らかになったことは大きな収穫となり、充実した時間となりました。
当会では、鮭発眼卵の河床埋設放流に2012年から取り組んでいます。
取組みを始めてからの日も浅いだけでなく、河川によって条件が様々であり、鮭の産卵から孵化のチャンスは年に1回であることなどから、実践する機会が限られていて、やってみないとわからないことが多くあると実感しています。
来冬も継続して鮭発眼卵の埋設放流に取り組みたいと考えていますので、皆様からのご参加、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

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