2014年-鮭稚魚の市民環境放流&児童発表会-2
2014年 鮭稚魚の市民環境放流-5
◆3月16日(日) 上田市 千曲川支川の浦野川で鮭の稚魚 4万尾を放流
今年の稚魚放流は、上田 道と川の駅 おとぎの里のイベント「春いちばん」、「第3回 鮭稚魚の市民環境放流会in上田」として上田市浦野川で行われました。
10時20分よりの開催式には、国土交通省北陸地方整備局 千曲川河川事務所長の宮武一郎様、上田市長の母袋創一様、長野県漁業協同組合連合会会長の藤森貫治様など多くのご来賓よりごあいさつをいただきました。
このすぐ近くの千曲川の梁場に2010年10月、65年ぶりに信州に鮭が遡上し発見されました。更に翌々年の11且同じ簗場に2度目の鮭が発見されました。上小漁業協同組合さんではその2尾の鮭を剥製にして事務所の資料館にて展示してあります。一般市民の方々に見ていただくためにお持ちくださいました。
その後、長野県議会議員の今井正子様より稚魚放流に際しての注意事項の説明があり、子どもたちと一緒に浦野川へ4万尾の稚魚を放流しました。
地元上小漁業協同組合の富岡道雄組合長も足の不自由な中で、市民の皆さんと一緒にバケツをゆっくりと浦野川につけながら、「元気に帰って来てねと」声を掛けていました。
また、この放流場所には、発眼卵埋設による自然孵化放流の試みを行っています
昨年の12月中旬、新潟水辺の会、地元上田道と川の駅 おとぎの里、長野大学自然ツーリズム学科が協働で浦野川に発眼卵埋設の試みを実施しました。
昨年使用のバイバードBOXはニジマス用で、スリットの幅が少なく稚魚が大きくなると出られないなどの不備が見つかったため100円ショップの材料を使い、手作りで試作し埋設しました。
昨年のバイバードBOXは200粒が精一杯でしたが今回の試作品は大容量で、600~800粒の発眼卵を入れることも可能であり、発眼卵から稚魚になる過程の水温の変化を計測するための自動温度計測計も入れて埋設しました。
更に発眼卵を直接川底に埋め込む直まきにも挑戦しました。これらの埋設は、日本海区水産研究所の飯田様のご指導をいただき実施しました。昨年は3月下旬にバイバートボックスを回収しましたが積算温度が不足でまだ仔魚の状態でしたので、今年は4月下旬にそれらを回収し検証を行う予定です。
その後参加者は昼食を兼ねて訪れた須坂の千体雛飾りを見学後、最後の稚魚放流の津南町に向かいました。
2014年 鮭稚魚の市民環境放流-6
◆3月16日(日) 津南町の信濃川と清津川合流点で鮭の稚魚2万尾を放流
最後の稚魚放流会場の津南町に着く寸前雨が降り始めました。例年より少ない積雪でしたが放流場所に参加者が安全に下れるように町役場の方々が川まで除雪をして待っていました。ありがとうございました。
初めて見る鮭の稚魚を見つめる参加の子供たちと、津南町副町長の村山昇様のあいさつ。
東京電力信濃川発電所の方々にお手伝いいただき、2万尾の稚魚を川まで運びました。
信濃川の水は濁っていましたが、放流場所の清津川の水は透き通っていました。元気で帰って来てねと声を掛けて清津川に放流しました。
2014年 鮭発眼卵からの育成と稚魚放流児童発表会
◆3月15日(土) 木島平小学校ランチルームにて発表会
かつての千曲川は、秋になると数千尾の鮭が遡ぼる自然豊かな河川でした。昭和初期ダムや発電所が造られると、鮭は故郷の信州へ帰ってくることが出来なくなりました。
3年前より稚魚放流と発眼卵からの稚魚育成をやっていただいている長野県の小学校の児童に集まっていただき、発眼卵からの育成の難しかったことやその時感じた疑問点など、皆さんの身近な千曲川と鮭などの環境について発表していただきました。
会場の木島平小学校ランチルームには、新潟からの日本ボーイスカウト新潟連盟 黒埼第一団、栄小学校5年生、野沢温泉小学校の5年生、地元木島平小学校の3年生、地域の方々など81名が集まり大熊代表の児童発表会の開催の経緯について説明がありました。
◆ 日本ボーイスカウト新潟連盟 黒埼第一団の発表
『鮭の旅』 7名
先程馬曲川で稚魚放流した鮭がいろいろな困難に出会いながら千曲川から信濃川を下り日本海を目指して進む様子を手書きの横断幕で説明していきます。オホーツク海からベーリング海を経て4年後、木島平の馬曲川に戻ってくる鮭になりきったボーイ4名が演じて、千曲川、信濃川、日本海を巡る鮭の旅を発表してくれました。
◆ 栄小学校5年生の発表
『私たちと鮭のかかわり』 4名
栄小学校のすぐ裏を千曲川が流れています。5km上流には東京電力の西大滝ダムがあります。一方15km下流にはJR東日本の宮中取水ダムがあります。ここ数年その二つのダムに遡上する鮭の遡上数のあまりの違いに興味を抱き、その疑問点を探るため二つのダムを見学し、遡上した鮭とも会って来たそうです。そしてその鮭稚魚を育ててみての過程を発表してくれました。
◆ 野沢温泉小学校 5年生の発表
『おびれちゃん ありがとう』 5名
新潟より野沢温泉小学校に運んだ発眼卵がふ化して仔魚になった時、生まれつき尾びれが曲がって自由に泳げないながらも一生懸命生きてきた「おびれちゃん」が居ました。その様子を物語りにし、紙芝居風にして発表してくれました。残念ながら「おびれちゃん」は、3月10日不慮の事故により水槽のゴミを取り除く循環器のモーターに吸い込まれて死んでしまいました。
自由に泳げなかったが命を一生懸命に生きた「おびれちゃん」に出会えて見習いたいと。そして一緒に育った稚魚が「おびれちゃん」の分まで頑張って、千曲川に帰ってきてくれと児童の発表は結ばれていました。子供たちの感性に感動しました。
◆ 木島平小学校 3年生の発表
『卵から成長するようす』 33名
新潟よりお持ちした発眼卵が、木島平小学校に届いて水槽に入れてからの観察記録を3年生の児童が交代でその様子を紙芝居で発表してくれました。年末眼が動いていた発眼卵が、1月8日に児童が登校してみるとふ化が終わっていたこと。お腹の栄養の袋がだんだん小さくなっていく様子を観察しています。水槽の端にかたまってしまう仔魚たち。そして段々大きくなって行き餌を食べる様子を順番に説明してくれました。
その後、児童からの質問に長野大学の高橋大輔先生が子供たちにも理解できるように回答してくれました。また木島平小学校の関校長先生からは、栄小学校、野沢温泉小学校の育成した稚魚をそれぞれ別な場所で育てて放流しましたが、それらは全て兄弟であり、その兄弟をお互いの学校で育てて放流したのだと。そして命というテーマでそれぞれの小学校が勉強できたことが良かった。来年も児童発表会が出来たら良いなと感想をいただきました。
午後4時半すぎ、発表した児童全員で記念撮影をして終了となりました。
初めての児童発表会でしたが、大人が見習わなくてはならない児童の発想の原点を知る良い機会となりました。発表の先生、児童の皆さん大変ご苦労様でした。
※この活動は三井物産環境基金の助成や沿川市町村の支援を受けて行っています。
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