待望の鮭が、西大滝ダム魚道に連日遡上しています-3

◆長野県での「カムバックサーモンキャンペーン」

これまで長野県でも千曲川に鮭を遡上させるために「カムバックサーモンキャンペーン」を昭和55年より21年間行い、鮭の稚魚899万尾の放流を実施した。だが当時西大滝ダムでは、年間平均流量225m3/sのうち最大で180m3/sを取水し千曲川本流へはわずか0.26m3/sのみの流量であった。またその下流の宮中取水ダムでも年間平均流量250m3/sのうち最大で317m3/sを取水し、本流へは7m3/s の維持流量のみでった。それらにより長野県での鮭の捕獲は48尾に終わった経緯がある。

〇信濃川をよみがえらせる会(※)資料「川はどこへ行った?」より

※十日町Webニュースhttp://www.oradoko.jp/news/2011/04/20110420-3.html

 

◆鮭稚魚の市民環境放流活動

当会も平成18年度より3年間、地球環境基金の助成を受けて信濃川、千曲川、犀川に平成19年3月5.5万尾、平成20年3月13万尾、平成21年3月20万尾の鮭稚魚の市民環境放流を実施した。さらに平成21年度より3年間三井物産環境基金の助成を受け、平成22年3月30万尾、平成23年の3月30万尾の合計98.5万尾鮭の市民環境放流の継続を行ってきた。当会の鮭稚魚の市民環境放流活動は、信濃川・千曲川・犀川を、かつてのように魚類が産卵、降下、遡上できる河川環境を目指すもので、鮭の遡上はあくまで1つの指標であって、鮭だけを遡上させる活動ではない。

〇放流場所まで稚魚をバケツリレーで運ぶ、子供たちも参加で稚魚放流(西大滝ダム下流右岸)

 

平成20年JR東日本の不正取水問題が発覚。翌年3月JR東日本の取水権取消し処分となり、かつての大河・信濃川が甦った。平成22年6月9日、5年間の試験放流の許可により発電は再開された。そして信濃川の全流量が放流されていた一昨年の平成21年、宮中取水ダム魚道で160尾、宮中取水ダムより下流に100m3/sの水量を流した22年146尾の鮭の遡上が確認され全数上流に放流された。

近年の西大滝ダムでの遡上は平成15年に1尾確認されたのみであった。その後は平成21年まで遡上はなかったが平成21年JR東日本の取水権取消しにより信濃川はかっての水量に戻り、西大滝ダム魚道でも平成21年10月中に2尾、22年度10月中に3尾の鮭が捕獲され上流に放流した。そして同年10月20日には、信濃川河口より253kmの上田市の千曲川の簗場に、産卵後のメス鮭が65年ぶりに発見された。そして今年の鮭の遡上に期待は大きく膨らんでいった。

今年は宮中取水ダムの魚道に遡上してきた鮭を全量トラップで捕獲し、全て標識を付けて上流に放流する画期的な調査が行われる事となった。

 

〇宮中取水ダム魚道でのトラップ(作業は1日朝、昼、夕方の3回、トラップを上げて鮭の有無を確認し、タグを付ける)

その為長野県内の河川で、その標識を付けた鮭を見つけたらお知らせくださいと言うことににして呼びかけを企画したが、問題になるという指摘を受けた。それは、長野県内で鮭を見つけた時は、善意であっても触れても捕獲してもいけない法律の水産資源保護法(内水面における鮭の採捕禁止 二年以下の懲役、50万円以下の罰金が科せられる)があるからである。

〇昨年は鮭が行方不明となったので、3段構えのトラップ構造となった西大滝ダム魚道

その為、長野県畜産課水産係や長野県漁業組合連合会と協議しながら特別採捕許可証を申請し、許可が下りた翌日には、西大滝ダムに今年1尾目の鮭の遡上があった。そして19日現在、24尾の遡上が確認され、全数上流に放流した。

〇14日に捕獲された4尾の鮭(高水漁協の宮本さん撮影)

待望の鮭が、西大滝ダム魚道に連日遡上しています-4へ

 

 

4 comments

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください