2014年-鮭稚魚の市民環境放流&児童発表会-1

かつて千曲川は、平安時代から鮭の産地として知られ、天皇の食膳に捧げる贄として納められたと藤原京から出土した木簡の中にも書かれています。昭和初期でも、信州に数万尾の鮭が遡上していました。その中には松本盆地を越え、梓川の上高地で捕獲された鮭が松本の博物館にあるくらい、信州と鮭は密接な関係であり鮭文化を形成していました。

昭和10年代に、信濃川の電源開発事業が開始され、長野県では西大滝ダム、新潟県では宮中取水ダムが作られると川が塞き止められ、河道の流量が減少することによって、昭和15年には長野県の鮭漁が終焉し、十日町市上流の信濃川でも鮭の姿が消えることとなりました。

 

私たちの活動は、本来的に豊かな水量を持つ信濃川・千曲川でありながら、魚が往き来できないという不自然な状態を改善して、千曲川、信濃川を「普通の川」に近づけることを目的にしています。その一環として、鮭が遡上する川の復活を夢見て、2007年の春から、新潟県内の信濃川はもとより、長野県内の千曲川、犀川で、当該地域の住民、行政、漁業協同組合の協力、そして小学生を中心とした子供達の参加をいただきながら、“鮭稚魚の市民環境放流”を行ってきました。

 

2014年3月鮭稚魚放流場所と放流尾数

2014年鮭稚魚の市民環境放流場所と放流尾数

 

2007年より始め、8年目を迎えた今年は3月15日、16日の2日間で十日町市の信濃川、野沢温泉村の千曲川、飯山市の千曲川、木島平村の馬曲川、上田市の浦野川、津南町の中津川など計6か所で稚魚放流を行い、木島平小学校では「発眼卵育成と稚魚放流の児童発表会」を行いました。

 

2014年 鮭稚魚の市民環境放流&児童発表会参加

2014年3月鮭稚魚放流日程と参加者数

参加者合計数は、大人と子供をあわせ773名となりました。今年の稚魚放流数は20万尾であり、7年間の合計では166.5万尾となりました。なお、長野の小学校5校に発眼卵を約200粒づつ預け、稚魚に育ててもらい(孵化率はそれぞれ約95%以上)、それも一緒に放流いたしました。

 

2014年 鮭稚魚の市民環境放流-1

 

◆3月15日(土) 宮中取水ダム下流の信濃川で鮭の稚魚放流 8万尾

十日町市-信濃川集合写真

今年もJR東日本様、十日町市様、中魚沼漁業協同組合様の協働で、鮭稚魚の放流を行うことが出来ました。前日まで降った雨による増水で稚魚放流の開催も不安がありましたが、関係者の皆様のこころが通じて流量が減少、さらに快晴の天候にも恵まれた中での放流でした。

 

2014.3.15十日町市宮中取水ダム稚魚放流-1

関口芳史十日町市長も初参加し、ごあいさつをいただきました。

 

2014.3.15十日町市宮中取水ダム稚魚放流-2

まだ積雪がある上、川の流量が多いため魚道への放流となりました。

 

2014.3.15十日町市宮中取水ダム稚魚放流-3

初めて参加の子どもたちはおそるおそる放流していました。3~4年後、帰って来いよと一言かけて声をかけて。

 

2014年 鮭稚魚の市民環境放流-2

 

◆3月15日(土) 西大滝ダム下流の千曲川で鮭の稚魚放流 2万尾

野沢温泉-千曲川集合写真

こちらも前日まで増水して水位が高く稚魚放流場所の移動を検討をしていましたが、天候も好転し快晴の中で稚魚放流を終えることができました。お手伝いいただきました高水漁協の宮本さん、東京電力信濃川発電所の皆様、そして発眼卵より鮭の育成をしてくださった栄小学校、野沢温泉小学校の児童の皆さん、大変ありがとうございました。

 

2014.3.15西大滝ダム下流稚魚放流-1

東大滝の方々も参加していただいた、高水漁協の宮本惣次さんが除雪してくれた道を下って千曲川へ。

 

2014.3.15西大滝ダム下流稚魚放流-2

千曲川は一昨日までの雨で水は濁っていたが、野沢温泉小学校と、栄小学校で育てた稚魚も一緒に放流。

 

2014.3.15西大滝ダム下流稚魚放流-3

東京電力の方もバケツリレーのお手伝いをいただきながら、流量が若干多いので安全な場所で放流をしました。

 

2014年 鮭稚魚の市民環境放流-3

 

◆3月15日(土) 飯山市湯滝温泉の千曲川で鮭の稚魚3万尾を放流

飯山市湯滝-千曲川集合写真

昨日の雨で少し増水した千曲川でしたが晴れた太陽の中、北陸新幹線開業1年前イベントを兼ねて飯山市公民館様と協働で、春休み特別体験「鮭の稚魚放流」を、湯滝温泉のカヌー乗り場にて行いました。同時に飯山市岡山小学校で育成した鮭の稚魚約200尾も原田校長先生や児童たちとも来て「元気で戻ってこいよ」と放流しました。

 

2014.3.15湯滝温泉稚魚放流-1

足立正則飯山市長、大熊新潟水辺の会代表のあいさつがあり、発眼卵を育てた岡山小学校の斎藤香澄さんの発表のセレモニーがありました。

 

2014.3.15湯滝温泉稚魚放流-2

前日より飯山公民館の服部館長が川岸まで除雪していただいたことで、稚魚運搬車も近くまで接岸してできました。

 

2014.3.15湯滝温泉稚魚放流-3

子供たちも稚魚をバケツに入れていただき一緒に『元気に帰ってこいよ』と放流しました。

 

2014年 鮭稚魚の市民環境放流-4

 

◆3月15日(土) 木島平村ケヤキの森公園脇の馬曲川で鮭の稚魚 1万尾を放流

木島平-馬曲川集合写真

今年も澄んで濁りのない馬曲川で、木島平小学校で育てた稚魚約200尾と持田養魚場で育てた稚魚1万尾の稚魚放流を行いました。例年より雪は少ないとのことですが対岸の放流場所への道はまだ雪が残っていたため、放流前に父兄の皆さんと一緒に踏み固めてからの放流となりました。

 

2014.3.15馬曲川稚魚放流-1

関孝志 木島平小学校校長先生のあいさつをいただきました。

 

2014.3.15馬曲川稚魚放流-2

川岸まで鮭の運搬車が行けないので、参加者全員でバケツリレーで稚魚を運びました。

 

2014.3.15馬曲川稚魚放流-3

濁りのない馬曲川に稚魚を放流しました。

 

◆ 2014年-鮭稚魚の市民環境放流&児童発表会-2へ続く

 

 ※この活動は三井物産環境基金の助成や沿川市町村などの支援を受けて行っています。

 

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