洪水と水害の違い

普通、「洪水」と「水害」は同じようなものと認識されていると思うが、厳密に言えば、少し違う。

「洪水」は、豪雨があって、川に普段の何百倍から何千倍もの水が流れる現象であり、一般にはその水が川から溢れた場合を「洪水」というようであるが、川から溢れなくとも川の流量が多くなっていれば「洪水」という。

「水害」は、その溢れた水によって、住宅や耕地などが被害を受けることであり、人が住んでいないところに溢れても「水害」とは言わない。仮に、人が住んでいても、その氾濫水をうまく受止め、被害が発生しないような工夫がなされていたら、「水害」とはならないのである。

すなわち、「洪水」はいわば自然現象であり、「水害」は「社会現象」といえるのである。

無論、「洪水」も、森林が広葉樹から針葉樹に変えられたり、都市化が進んで屋根や道路の面積が増え、雨水が浸み込まなくなって、同じ雨に対して流出量が変化することがあるので、社会現象ともいえるのであるが、豪雨がない限り洪水とならないので、自然現象が強いといっていいだろう。

 この「洪水」と「水害」の違いを認識して、「水害」に遭わない工夫が肝要なのであるが、それについては徐々に述べることにする。

4 comments

  • 播磨

    私は洪水イコール水害、というイメージが強いです。

    昔はその通りだったのかもしれませんが、
    今は、技術が発達し、
    洪水が起きたとしても水害は防げる、と
    常識が変わってきたのでしょうか。

  • 大熊 孝

    播磨さん、早速、ホームページにアクセスしていただき、ありがとうございます。
    私は、今から30数年前の学生の時に、洪水と水害は違うと教わりましたが、いまだに洪水と水害が混同されていますので、技術の発達によって常識化したということではないように思います。上にも書きましたが、氾濫したとしても、そこに人の営みがなければ水害になりません。今後、原稿を書かれるときに、その辺をわきまえながら、書かれたら良い原稿になるのではないでしょうか。

  • 須藤 敏彦 

    すぐ近くに、約1000㎥毎秒流下可能とされる、最上川右支川、乱川がありますが、記憶にある50年は、水害がありません。大正2年が、近年の最大洪水らしいですが、いつ、ゲリラ豪雨が来るかわかりません。逃げ道の確認をしたいと思います。

  • 矢島道子

    大熊 孝様
    はじめまして。
    学芸大学の小泉武栄先生からご紹介いただきまして、
    メールを差し上げます。
    ジオ多様性研究会事務局の矢島道子です。

    尾池和夫先生が主宰する「ジオ多様性研究会」が
    第6回研究会を12月21日(金)午後・22日(土)午前の両日、
    JAMSTEC東京事務所で開催します。
     この研究会は、地球科学者が10人ほどコアメンバーとなって、
    地質・地形が、直接的に、あるいは生態系を通じて間接的に、人間生活に如何に影響しているかを多角的に学ぶことを目的にしています。
    私は研究会の事務局を担当しています。

    謝金その他はほとんどないのですが、
    「川と大地の関係」について、
    大熊様がおもしろいと思われていることを、金曜か土曜のどちらかで、
    縦横に30分ほどお話しいただけないでしょうか。

    よろしければ、
    タイトルと希望日時をお知らせください。

    私が無精でweb-pageなどつくっていないのですが、
    これまでの研究会での話は下記のようです。

    どうぞよろしくお願いいたします。

    矢島道子

    第1回フォーラム「ジオ多様性とは何か、その重要性を問う」
    月日:2011年1月14,15日(金・土)
    場所:国際高等研究所

    1月14日 午後3時より午後5時30分まで
      司会 原田憲一
      開会挨拶 尾池和夫
    ・渡辺悌二(北海道大学)「ジオ多様性:いま,関係者が取り組むべきこと」
    ・高井研(JAMSTEC)「知られざる深海熱水環境のジオ多様性:微生物生態系の生物多
    様性の決定的要因」
    ・佃栄吉(産総研) 「さらなるジオ時空間可視化の必要性」
    会場を移して懇親会
    1月15日午前9時30分より
    ・白山義久(京都大学) 「深海はなぜ生物多様性が高いのか?」
    ・小泉武栄(東京学芸大学) 「生物多様性の基盤環境としての地形・地質と自然史」
    ・木村克巳(産総研) 「ボーリングデータ解析による地下構造の3次元可視化とジオ
    多様性」
    ・加藤碵一 (産総研)「ジオ多様性とは??日本・アジア・ヨーロッパを跨いで」
    昼食、午後は基本的になし
    基本的に発表者は30分、討議は10分、休憩(余裕)5分

    国際高等研究所「ジオ多様性研究会」
    2011年度第1回研究会プログラム
    開催日時:2011年 6月3日(金)15:00~17:30
            6月4日(土) 9:30~12:30
    開催場所:国際高等研究所216号室(2F)

    出席予定者:(19人)
    研究代表者  尾池 和夫 国際高等研究所長       
    参加研究者 吾妻 直記    株式会社オーム社出版第2部部長 
     (13人) 大野 照文 京都大学総合博物館長     
    加藤 碵一 産業技術総合研究所フェロー  
    ** 佐藤 洋一郎 総合地球環境学研究所副所長   
           白山 義久 海洋研究開発機構理事
    ** 原田 憲一 京都造形芸術大学芸術教養教育センター教授
           目代 邦康   自然保護助成基金研究員
    矢島 道子  東京医科歯科大学教養部非常勤講師 
    渡辺 悌二  北海道大学大学院地球環境科学研究院教授   
    石本 顕一    山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局事業課長  
    先山  徹 山陰海岸ジオパーク推進協議会
      戸田  康 山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局長

     話題提供者 井村 隆介   鹿児島大学大学院理工学研究科准教授
    (ゲストスピーカー) 岡村 道雄    奈良文化財研究所名誉研究員
     (5人) 小関 武宏   三菱マテリアルテクノ株式会社
                      資源・環境・エネルギー事業部副部長
    鹿園 直建    慶應義塾大学理工学部応用化学科教授
      高井  研    海洋研究開発機構プログラムディレクター
    6月3日(金) 司 会:矢島 道子  
    開会挨拶:尾池 和夫
    井村 隆介「火山からみたジオ多様性」
    高井  研 「地中深部の生物」
    佐藤 洋一郎「稲作の歴史からみたジオ多様性」
    懇談会 「閑清居」
    6月4日(土) 司 会:矢島 道子  
    小関 武宏 「地熱から見たジオ多様性」
    鹿園 直建 「資源から見たジオ多様性」
    岡村 道雄 「考古学から見た大地の多様性」
    原田 憲一 「ジオ多様性と資源人類学-壱岐・対馬・済州島を例にして」

    国際高等研究所「ジオ多様性研究会」
    2011年度第2回研究会プログラム
    2011年10月7日(金)15:00~17:30
       10月8日(土) 9:30~12:30
    開催場所:JAMSTEC東京事務所
    出席予定者:(19人)     

    10月7日(金) 司会:矢島 道子  
    15:00~  開会挨拶:尾池 和夫
    渡辺 真人  「ジオツーリズムとジオ多様性」
    目代 邦康  「地形・自然地理の多様性」
    竹本修三  「測地学から見たジオ多様性」
    懇談会 「ニュ-トーキョー数寄屋橋本店2Fさがみ」
    10月8日(土) 司会:矢島 道子 
    尾池 和夫「地震活動とジオ多様性」
    中野 孝教 「ジオ多様性が生み出す水と生物の質的多様性」
    狩野 卓也 「酒と水とジオと」
    原田 憲一  「文明とジオ多様性」

    国際高等研究所「ジオ多様性研究会」
    2011年度第3回研究会プログラム
    2012年 2月10日(金)15:00~17:30
       2月11日(土) 9:30~12:00
    開催場所:京都大学総合博物館講演室

    出席予定者:(21人)
    研究代表者  尾池 和夫 国際高等研究所長       
    参加研究者 吾妻 直記    株式会社オーム社出版第2部部長 
    (メンバー) 大野 照文 京都大学総合博物館長     
    (10人) 加藤 碵一 産業技術総合研究所フェロー  
    佐藤 洋一郎 総合地球環境学研究所副所長 
    白山 義久 海洋研究開発機構理事  
           原田 憲一 京都造形芸術大学芸術教養教育センター教授
    目代 邦康   自然保護助成基金研究員
          矢島 道子  東京医科歯科大学教養部非常勤講師 
    渡辺 悌二  北海道大学大学院地球環境科学研究院教授 
    渡辺 真人  産業技術総合研究所地質情報研究部門主任研究員
     話題提供者 井上 章一 国際日本文化研究センター研究部教授
    (ゲストスピーカー) 近藤 高弘 陶芸・美術作家
     (5人) 坂本 雄一  有限会社坂本酒店店長
    田村 憲司 筑波大学大学院生命環境科学研究科准教授
    山口 正視  千葉大学真菌医学研究センター准教授
    その他参加者  小関 武宏 三菱マテリアルテクノ株式会社資源・環境・エネルギー事
    業部副部長
     (5人) 鹿園 直建 慶應義塾大学理工学部応用化学科教授
    竹本 修三   JEIN・基礎科学研究所・研究主管
    長谷 義隆 天草市立御所浦白亜紀資料館
    前田  朋 ヴィッセン出版・京都月出版
    宮島  宏  フォッサマグナミュージアム・青海自然史博物館
     
    2月10日(金) 司会:矢島 道子  
    開会挨拶:尾池 和夫
    田村 憲司「ジオ多様性における土壌の役割-土壌多様性の意義-」
    井上 章一「建築とジオ多様性」
    近藤 高弘 「焼きモノとジオ多様性」

    2月11日(土) 司会:矢島 道子  
    山口 正視「真菌から見たジオ多様性」
    坂本 雄一「ワインとジオ多様性の美味しい関係」
    総合討論

    国際高等研究所「ジオ多様性研究会」
    2012年度第1回研究会プログラム
    開催日時:2012年 6月8日(金)15:00~17:30
            6月9日(土) 9:30~12:30
    開催場所:JAMSTEC横浜事務所
    出席者
    研究代表者  尾池 和夫 国際高等研究所所長
    参加研究者 吾妻 直記   株式会社オーム社出版第2部部長
    (メンバー) 大野 照文 京都大学総合博物館館長
        加藤 碵一 産業技術総合研究所フェロー
    白山 義久 海洋研究開発機構理事
        佃  栄吉 産業技術総合研究所副研究統括
           原田 憲一 京都造形芸術大学芸術教養教育センター教授
    目代 邦康   自然保護助成基金研究員
          矢島 道子  東京医科歯科大学教養部非常勤講師
        渡辺 真人  産業技術総合研究所地質情報研究部門主任研究員
     話題提供者 松原 聡 国立科学博物館名誉館員
    (ゲストスピーカー) 横山 玲子 東海大学文学部教授
     (7人) 高橋 雅紀 産業技術総合研究所主任研究員
        村上 哲明 首都大学東京教授
        高木 秀雄 早稲田大学教育・総合科学学術院教授
        横山 俊夫 滋賀大学理事・副学長・附属図書館長
        大野 照文 京都大学総合博物館教授・館長
    その他参加者  小関武宏 三菱マテリアルテクノ株式会社
    ( 人) 岸上祐子 科学技術振興機構
            宮島 宏 フォッサマグナミュージアム
    6月8日(金)
    松原 聡「鉱物の多様性」
    横山 玲子「中南米の都市と建築」
    高橋 雅紀「ジオ多様性と研究者多様性」

    6月9日(土)
    村上 哲明「日本列島における野生植物種内の遺伝的多様性の分布と地史」
    高木 秀雄「日本の地質構造の多様性?水平から垂直へ」
    横山 俊夫「多様であることが意味を持つとき(仮題)」
    大野 照文「地球史を通じた生物進化と環境のからみ」

    以上。

    Michiko d Yajima
    tel & fax +81-3-3812-7039

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