映画『阿賀に生きる』30 周年記念イベントのお知らせ

ドキュメンタリー映画がまだ劇場で公開されることがなかった1992 年、『阿賀に生きる』(佐藤真監督)がシネ・ヴィヴァン六本木で異例のロードショー公開がされました。
この映画は、新潟水俣病の患者である3 組の老夫婦が自然とともに生きる日常を中心に描いたもので、その年のキネマ旬報ベストテン日本映画第3位と多くの方たちから支持されました。
また、第24 回スイス・ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で銀賞を受賞するなど、海外でも高く評価されました。

撮影:村井勇

それから30 年がたった今年、『阿賀に生きる』の製作に携わった人たちと共に、この映画
が私たちに残したものをあらためて確認し、そこから見えてくる今の社会とはどのようなものなのかを考えてみたいと思います。

○映画「阿賀に生きる」につきましては、公開20 周年の際に作りましたHP をご参考にしてください。(http://kasamafilm.com/aga/
予告編もご覧いただけます。

 

  • 日時:10 月10 日(月・祝)13 時開場、13 時30 分開演~19 時終演
  • 場所:アテネ・フランセ文化センター (JR 東中央線・御茶ノ水駅から徒歩5 分)
    東京都千代田区神田駿河台2-11 4 階 03-3291-4339(電話受付13:00 以降)
  • 入場料:1000 円(再入場可)

撮影:村井勇

  • 内容
    • 映画『阿賀に生きる』(1992 年 /115 分)上映
    • 大熊孝氏講演 「『阿賀に生きる』に学んだこと~山川草木悉有仏性~」(『阿賀に生きる』製作委員会代表、新潟大学名誉教授)
    • シンポジウム「『阿賀に生きる』完成 30 年の意味と今後」

大熊孝 / 旗野秀人(『阿賀に生きる』製作発起人、冥土のみやげ企画、新潟水俣病安田患者の会事務局)/ 小林茂(映画監督・同映画撮影担当)/ 小森はるか ( 映像作家 )/ 佐藤睦「それからどしたいっ!『阿賀に生きる』その後」監督

    • 映画「それからどしたいっ!『阿賀に生きる』その後」(2022 年 /82 分)上映

 

  • 主催:有限会社カサマフィルム
  • 協力:アテネ・フランセ文化センター
  • お問合せ・事前申込み:以下のフォームよりご連絡をお願いします。

     

    「流域治水の最前線 シンポジウム『温暖化時代の水害政策を求めて』」の動画が公開されました

    2020年7月22日に参議院議員会館で開催された「流域治水の最前線 シンポジウム『温暖化時代の水害政策を求めて』」動画公開されました。当会の大熊 孝顧問も登壇しています。

    以下は、主催者の一人である嘉田由紀子氏(参議院議員、前滋賀県知事)の紹介文ですが、第一部の対談のベースにあるのは、高橋裕著『国土の変貌と水害』(岩波書店、1971年)、篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』(農文協、2018年)、大熊孝著『洪水と水害をとらえなおす―自然観の転換と川との共生』(農文協、2020年)という3冊の書籍です。

    球磨川水害の検証と復旧・復興がすすむなか、また、国の治水政策が“流域治水”に大きく舵を切ろうとするなか、たいへん貴重なシンポジウムとなりました。ぜひともご覧いただきたいと存じます。

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    2020年7月22日参議院議員会館で「流域治水の最前線シポジウム~温暖化時代の水害政策を求めて~」が開催されました。主催は衆参の国会議員による実行委員会です。ここでは、そのシンポジウムの模様を約3時間にわたり紹介します。少し長いですが、画期的なシンポジウムです。動画にて当日の模様をお伝えします。ご覧ください。

    第一部は、日本の河川政策の思想の歴史を追う対談です。
    基調対談 高橋裕著「国土の変貌と水害」から50年~治水政策子弟三代から見る日本の河川政策の歴史と思想~
    篠原修(東京大学名誉教授・政策研究大学院大学名誉教授)
    大熊孝(新潟大学名誉教授、(特非)新潟水辺の会顧問)
    進行:嘉田由紀子(参議院議員、前滋賀県知事)

    明治時代以降の近代化の中で、自然制御型ともいえる「国家の自然観」により、洪水を連続堤防やダムなど施設の力で河川の中に閉じ込める考え方が広がってきました。一方、人びとの間には「庶民の自然観」ともいえる、自然の仕組みに寄り添って、洪水をできるだけいなして致命的な水害にしないという考え方があります。

    ここでは、日本人の自然観と河川政策をめぐり出版された3つの著書、高橋裕著『国土の変貌と水害』(岩波書店、1971年)、篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』(農文協、2018年)、大熊孝著『洪水と水害をとらえなおす―自然観の転換と川との共生』(農文協、2020年)を土台として、大熊孝、篠原修の2人の著者の対談をお願いしました。

    第二部は、「流域治水」という考え方に焦点をおき、2014年に全国ではじめて「流域治水推進条例」をつくった滋賀県や、ここ1~2年「流域治水」政策を積極的にとりいれている国土交通省や、土木学会の担当者からの発表をお願いしました。

    近年、温暖化の影響とも言える豪雨が多発し、これまでの「国家の自然観」に根差した自然制御型治水政策に大きな反省が迫られています。そのときに有効であるのが、土地に根差した先人の知恵に学びながら、「庶民の自然観」を活かし、流域のリスクを正しく知り、知らせることで、河川の中だけでなく、人が暮らす流域の土地利用や建物づくり、避難体制などに工夫をこらす「流域治水」の仕組みです。第二部は、以下の3つの講演をお願いしました。

    講演1 知花武佳(土木学会台風19号災害総合調査団幹事長・東京大学准教授)
    「土木学会台風第19号災害総合調査団の提言に見る流域治水」

    講演2 森本輝(国土交通省水管理・国土保全局河川計画課河川計画調整室長)
    「気候変動を踏まえた水災害対策について~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~」

    講演3 吉田秀範(滋賀県土木交通部長)・速水茂喜(滋賀県流域治水政策室長)
    「滋賀県での流域治水条例制定と今後の課題」

    最後に会場の皆さんからの質疑応答を受けさせていただきました。
    最後までご覧いただきましたら幸いです。
    (文責 嘉田由紀子)

    大熊 孝著「洪水と水害をとらえなおす~自然観の転換と川との共生~」出版と予約受付のお知らせ

    2020/05/18追記:本日を持って予約受付を終了させていただきました。ご希望の方は5月下旬より最寄りの書店やネットショップ等でお買い求めください。
    河川工学の泰斗が、日本人の伝統的な自然観に迫りつつ、今日頻発する水害の実態と今後の治水のあり方について論じ、ローカルな自然に根ざした自然観の再生と川との共生を展望する。大熊河川工学集大成の書「洪水と水害をとらえなおす~自然観の転換と川との共生~」。2020年4月発行予定、予約注文受付中です。
    また、土木学会出版文化賞受賞を受賞した「篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』」の増刷も決定し、こちらもあわせて予約注文を受け付けています。

     

    ◆大熊 孝著「洪水と水害をとらえなおす~自然観の転換と川との共生~」について(前書きより抜粋)

    ………私は、「河川工学」、「河川史」を専門として、水害をできるかぎり軽減させること、
    そして水辺での「人と自然の共生」を目的に長く教育・研究生活を送り、学生を育て、市民とともに実践活動を行ない、それなりに書物も著わし、水害対策や川と人との関係性についてさまざまな提言を行なってきた。しかし、それが実際にはほとんど役に立っていないことを、近年思い知らされている。何故こうなってしまったのか?

    ………その原因には、人々の暮らしや生業が地域の自然と深くかかわるなかで育まれてきた「民衆の自然観」というべきものが、近代化とともに国家運営のための自然観へと変貌し、「民衆の自然観」が消失してきたことがあるように思われる。その「国家の自然観」を支えたものが、明治時代以降に輸入された近代的科学技術であった。

    ………西洋近代科学技術文明はヨーロッパの長い歴史の上に築かれ、自然と共生する側面も有する奥行きの深いものであると考えるが、日本の場合、その表層だけが「近代科学技術文明」として輸入され、明治時代以降の殖産興業、富国強兵、経済成長に中央集権的に活用され、自然を支配し、その恵みを収奪してきたのである。

    ………現在のように通信・交通手段が発達し、あらゆるものがグローバル化した時代において世界の国々と伍して競争をしていくためには、中央集権的な「国家の自然観」が必要であることは理解できる。だが、その「国家の自然観」を押し通すことになると、民衆にさらなる犠牲を強いることになるだろう。少しでも「民衆の自然観」に配慮することで、その犠牲を緩和することはできるはずである。

    ………本書ではまず、もともと日本人が自然に対してもっていた自然観、すなわち「民衆の自然観」がどのようなものであり、それが明治時代の近代化以降、「国家の自然観」のもとでどう変質していったのかを眺めてみたい。また、近年の水害、特に 21 世紀に入ってからの水害で問題なのは、床上浸水で寝たきり老人が逃げられずにそのまま溺死することである。無防備に開発された沖積平野での悲惨な水害の実態を見たうえで、今後の治水のあり方について、堤防強化を中心に論じてみたい。
    そして最後に、現在私が住んでいる新潟において、どのような「都市の自然観」が構築できるのかを探ることとする。

    ………ただ私はいわゆる理系の土木技術者にすぎず、哲学者や科学史家、技術史家のような論理展開はできない。私が実際に川や水辺でかかわってきた事例を中心にしながら、どこに問題があったのかを述べていくしかない。 こんな私からの提言が今の世の中を変える力にはなりようもないと思うが、ここに書くことが若い人にとってこれから生きていく希望のよすがになればと考えている。

    〈著者について〉

    大熊孝。1942 年台湾に生まれる。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。新潟大学名誉教授。主な著書に『利根川治水の変遷と水害』(東京大学出版会)、『洪水と治水の河川史』(平凡社)、『川がつくった川、人がつくった川』(ポプラ社)、『技術にも自治がある』(農文協)などがある。

    〈目 次〉

    • Ⅰ 私は川と自然をどう見てきたのか
      • 第1章 日本人の伝統的自然観・災害観
      • 第2 章 近代化の中で失われた伝統的自然観
      • 第3 章 小出博の災害観と技術の三段階
    • Ⅱ 水害の現在と治水のあり方
      • 4章 近年の水害と現代治水の到達点
      • 第5章 究極の治水体系は 400 年前にある―堤防の越流のさせ方で被害は変わる
      • 第6章 今後の治水のあり方―越流しても破堤し難い堤防に
    • Ⅲ 新潟から考える川と自然の未来
      • 第7章 民衆の自然観の復活に向けて―自然への感性と知性をみがこう!
      • 第8章 自然と共生する都市の復活について―新潟市の「ラムサール条約湿地都市認証」への期待
    • 付:予備知識・川の専門用語

    〈発行・装丁・価格〉

    • 発行:(株)農文協プロダクション
    • 装丁:A5判 変型・並製・300頁
    • 本体価格:3,000円(予価)

    〈案内チラシ〉

    チラシ(PDF)をダウンロードする

    ◆篠原修著「河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年」について

    本書発行とともに、長らく品切れ状態となっていた、篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』を増刷いたします。

    『河川工学者三代は川をどう見てきたのか』は、平成 30 年度土木学会出版文化賞を受賞しました。「3 人の河川工学者の評伝という形を取りながら、近代河川行政が様々な議論を経て今日に至っている歴史を、詳細かつ分かりやすくまとめた近代河川行政史であり、河川工学をはじめ国土について学ぶ者にとって有用な書籍として土木工学の発展に寄与するもの」(学会ホームページより)と高く評価されました。
    本書については当サイトのこちらの記事でも紹介しています。

    ◆予約注文について

    新刊の「大熊 孝著『洪水と水害をとらえなおす~自然観の転換と川との共生~』」、増刷の「篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』」ともに予約申し込みフォームからお申し込みください。

    【価格】

    大熊 孝著『洪水と水害をとらえなおす~自然観の転換と川との共生~』予価3,000円(予約特典・ 税 および送金手数料 サービス 。送料は実費)

    篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』:本体価格3,500円(税および送金手数料サービス。送料は実費)

    【販売者】

    株式会社農文協プロダクション
    〒107-0052 東京都港区赤坂 7-5-17ラグジュアリーヒルズ2F
    TEL.03-3584-0416 FAX.03-3584-0485

    【お支払いについて】

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    請求書払いや銀行振り込みでのお支払いについては、申込フォームの連絡事項よりお知らせください。(銀行振り込みの場合は振込手数料はお客様負担でお願いします)

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    【予約方法】

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    2020/05/18を持って予約申込を締め切りました。

    ※申し込みフォームからお申し込みをいただいた際には「(特非)新潟水辺の会

    ngtmizubenokai@gmail.com」から送信いただいた内容の確認メールが自動送信されます。(お使いのメールソフトや迷惑メール設定により受信できない場合もあります)

    ※※申し込みフォームがご利用いただけない場合はチラシの申込書またはメールにてお申し込みください。

    【個人情報の取り扱いについて】

    予約の際にお知らせいただいた個人情報については、商品の発送および代金の回収および当該書籍に関連する情報提供に使用目的を限定します。

    【お問い合わせ・申込内容の変更】

    発行元の(株)農文協プロダクション(担当:田口)までお願いします。

    Fax 03-3584-0485
    Tel 03-3584-0416
    Mail taguchi@sinseisaku.co.jp(文字はすべて半角にしてください)

    【予約申し込みフォーム以外での申し込み方法】

    チラシの申込書に必要事項をご記入の上Fax(03-3584-0485)にてお申込み。

    またはメールにて以下の項目をお知らせください。

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    メールの宛先:taguchi@sinseisaku.co.jp(文字はすべて半角にしてください)

     

     

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