「流域治水の最前線 シンポジウム『温暖化時代の水害政策を求めて』」の動画が公開されました

2020年7月22日に参議院議員会館で開催された「流域治水の最前線 シンポジウム『温暖化時代の水害政策を求めて』」動画公開されました。当会の大熊 孝顧問も登壇しています。

以下は、主催者の一人である嘉田由紀子氏(参議院議員、前滋賀県知事)の紹介文ですが、第一部の対談のベースにあるのは、高橋裕著『国土の変貌と水害』(岩波書店、1971年)、篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』(農文協、2018年)、大熊孝著『洪水と水害をとらえなおす―自然観の転換と川との共生』(農文協、2020年)という3冊の書籍です。

球磨川水害の検証と復旧・復興がすすむなか、また、国の治水政策が“流域治水”に大きく舵を切ろうとするなか、たいへん貴重なシンポジウムとなりました。ぜひともご覧いただきたいと存じます。

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2020年7月22日参議院議員会館で「流域治水の最前線シポジウム~温暖化時代の水害政策を求めて~」が開催されました。主催は衆参の国会議員による実行委員会です。ここでは、そのシンポジウムの模様を約3時間にわたり紹介します。少し長いですが、画期的なシンポジウムです。動画にて当日の模様をお伝えします。ご覧ください。

第一部は、日本の河川政策の思想の歴史を追う対談です。
基調対談 高橋裕著「国土の変貌と水害」から50年~治水政策子弟三代から見る日本の河川政策の歴史と思想~
篠原修(東京大学名誉教授・政策研究大学院大学名誉教授)
大熊孝(新潟大学名誉教授、(特非)新潟水辺の会顧問)
進行:嘉田由紀子(参議院議員、前滋賀県知事)

明治時代以降の近代化の中で、自然制御型ともいえる「国家の自然観」により、洪水を連続堤防やダムなど施設の力で河川の中に閉じ込める考え方が広がってきました。一方、人びとの間には「庶民の自然観」ともいえる、自然の仕組みに寄り添って、洪水をできるだけいなして致命的な水害にしないという考え方があります。

ここでは、日本人の自然観と河川政策をめぐり出版された3つの著書、高橋裕著『国土の変貌と水害』(岩波書店、1971年)、篠原修著『河川工学者三代は川をどう見てきたのか―安藝皎一、高橋裕、大熊孝と近代河川行政一五〇年』(農文協、2018年)、大熊孝著『洪水と水害をとらえなおす―自然観の転換と川との共生』(農文協、2020年)を土台として、大熊孝、篠原修の2人の著者の対談をお願いしました。

第二部は、「流域治水」という考え方に焦点をおき、2014年に全国ではじめて「流域治水推進条例」をつくった滋賀県や、ここ1~2年「流域治水」政策を積極的にとりいれている国土交通省や、土木学会の担当者からの発表をお願いしました。

近年、温暖化の影響とも言える豪雨が多発し、これまでの「国家の自然観」に根差した自然制御型治水政策に大きな反省が迫られています。そのときに有効であるのが、土地に根差した先人の知恵に学びながら、「庶民の自然観」を活かし、流域のリスクを正しく知り、知らせることで、河川の中だけでなく、人が暮らす流域の土地利用や建物づくり、避難体制などに工夫をこらす「流域治水」の仕組みです。第二部は、以下の3つの講演をお願いしました。

講演1 知花武佳(土木学会台風19号災害総合調査団幹事長・東京大学准教授)
「土木学会台風第19号災害総合調査団の提言に見る流域治水」

講演2 森本輝(国土交通省水管理・国土保全局河川計画課河川計画調整室長)
「気候変動を踏まえた水災害対策について~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~」

講演3 吉田秀範(滋賀県土木交通部長)・速水茂喜(滋賀県流域治水政策室長)
「滋賀県での流域治水条例制定と今後の課題」

最後に会場の皆さんからの質疑応答を受けさせていただきました。
最後までご覧いただきましたら幸いです。
(文責 嘉田由紀子)

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