2012年 鮭稚魚の市民環境放流-2

◆鮭稚魚の市民環境放流とは?

3月24日(土)は、当会の本年度の鮭稚魚の市民環境放流の最終放流日でした。さてこの「鮭稚魚の市民環境放流」について説明がないままでしたので説明をします。鮭稚魚の市民環境放流は、漁業としての鮭漁の復活を千曲川にまで期待するものではなく、魚や舟の往来できる本来の川に近づけていくためのものです。信濃川の水量が回復し、長野で産卵・孵化した鮭の稚魚が安全に日本海まで降り、再び成魚が河口新潟から長野まで遡上できる環境を整え、信濃川の生物循環経路の復活での一助になると思い取組んでいます。これまでの産業放流(内水面漁業協同組合など漁獲を目的とする放流:毎年信濃川水系では約1千万尾の放流がある)や教育放流と異なり、見返りを求めない市民目線による河川環境を考えた市民による環境のために行う放流です。

7時30分新潟駅に集合し、15人乗りのマイクロバスで9名が十日町市の宮中取水ダムへ向いました。天気予報では雨であり、今年も一昨年の大雨の中での稚魚放流を覚悟していましたが9時30分、宮中取水ダムに到着しましたが曇りですが雨や雪は降っていませんで皆さんの日頃の行いの良さが現れたと言い合いました。現場にはJR東日本の社員の方々とBSNテレビ局の撮影班がもう来ていました。私たちも幟旗を組み立て稚魚放流の準備を始めました。

大改修した宮中取水ダムの魚道(外側にせせらぎ魚道、小型魚道、大型魚道、近く魚道観察室が近く完成)、

 今回この宮中取水ダムで放流する稚魚数は当会が15万尾、JR東日本さんが10万尾の合計25万尾ですが、今回はその内の2割程の5万尾を当日参加者の方と一緒に放流を行いました。

鮭稚魚の放流イベントは、市民や子どもたちが小さなバケツに入れた稚魚を自分の手で流れに放すなど誰でも参加しやすいイベントです。ふるさとの信濃川の川を見つめる機会ですし、川や魚に対する関心を高めるきっかけになっていると思います。また今年度より小学校で発眼卵から稚魚を飼育していただくことで、命の神秘さや命の大切さを学ぶ機会にもなっています。

◆今年の稚魚放流の特徴

だが私たちが稚魚になるべく衝撃を与えずに放流しても稚魚にとっては負荷(ストレス)をかけていることになります。そこで今年からの試みとして、稚魚になるべく負荷(ストレス)をかけずに日本海まで下れるようにするために8割の稚魚を改修したばかりの魚道にゆっくりと流し、稚魚が下りたくなった時自然に流下するのを待つやり方を取りました。そうすることで放流した稚魚がその先ちゃんと日本海まで下り、3~4年後生まれた川に戻って来ることにつながると思っています。

午後から魚道に放流した稚魚が川鵜や鷺などの鳥に取られないように、JR東日本さんが全員でネットを掛けてくださいました。

午後1時30分、最後の放流場所の信濃町の鳥居川に到着しました。今回の稚魚放流には、近くに住む当会顧問のC.W.ニコルさんが駆けつけて参加してくださいました。

積雪は少なくなっていましたが除雪を行い、子ども達が安全に川まで下りられるように階段を付けました。

富士里小学校近くより10名の小学生と父兄をお連れして午後2時30分より稚魚放流を開始しました。子ども達は元気に何度も坂を下り、川の中にジャブジャブ入って稚魚を「帰っておいで」と放流してくれました。

最後にニコルさんより「鮭が海の栄養分を山に運んできて、森を豊かにしている」話をしていただき記念撮影を行いました。

6年前より地球環境基金(2006.4~2009.3)、三井物産環境基金(2009.4~2012.3)の二つの団体より助成を受けながら、皆様のお陰で今年の鮭稚魚の市民環境放流30万尾も無事に終えることができました。本当にありがとうございました。本年度の放流を表にまとめました。

●今後の活動

本活動は、魚や舟の往来できる本来の川に近づけていくためのもので、信濃川の水量が回復し、長野で産卵・孵化した鮭の稚魚が安全に日本海まで降り、再び成魚が河口新潟から長野まで遡上できる環境を整え、信濃川の生物循環経路の復活での一助になると思い取組んでいます。これからも次世代の子供たちに誇れる河川環境を残してゆくため、流域の市町村と市民団体、漁業協同組合、大学、東京電力・JR東日本と協働しながら、ダム魚道の改善や稚魚のタービンへの迷入防止装置の設置などの実現支援や鮭稚魚の市民環境放流などを地道に継続して行く予定です。

さらに、これまで河川環境改善の第一歩として鮭の稚魚の人工孵化による放流を行ってきましたが、今後は、自然産卵に適した砂礫があり、かつ、伏流水などが湧き出る場所に、発眼卵を着床箱に入れて定着させ、より自然状態に近い形での孵化および降下をはかることを考えています。今後も情報発信を行っていきますので、今後もご支援をお願い致します。

 

 

 

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