2013年 鮭の発眼卵埋設放流-3

◆ 川底に発眼卵を直接入れる「直まき埋設」

 

今回初めて行う「鮭発眼卵の直まき埋設」は、当会が目指す「長野で産卵・孵化した鮭の稚魚が安全に日本海まで降り、再び成魚が河口新潟から長野まで遡上できる本来の川にしたい」想いを、この方法は、将来に渡って活動を持続するための大きな可能性を持つものと考え実施しました。

発眼卵の直まきのやり方

 埋める場所を決め、川底に窪みを作り、漏斗から発眼卵を空間に入れ、漏斗をゆっくりと抜く

 

ご存知のように私たちが日常食べている鮭は、北海道など海の沖で捕まえる鮭で、魚体も銀色をしています。それは生まれた川に戻る前に捕獲されたもので、川に入る頃になるとブナ毛と呼ばれる、タテ、ヨコに紋様の婚姻色が出来、雄は鼻も曲ってきます。

生まれ故郷の川にある障害をいくつも乗り越えふ化した場所に戻り、産卵場を探します。雄と雌による巣作りが始まり、雌は産卵床になる穴を掘り、雄はほかの雄が近づくのを防ぐと言われています。

鮭の産卵への動き

産卵と産卵床の様子

 

穴が掘られると、雌は数回にわけて放卵を行い、同時に雄は放精を繰り返し、受精が行われます。産卵が終ると、雌は卵を外敵から守るために穴を砂利で覆います。産卵される卵は、1尾当り約3,000粒だそうです。

鮭の産卵後、一生と食物連鎖

 鮭の産卵後、一生と食物連鎖

 

この産卵行動が3~5日続き、産卵を終えた鮭は死んでしまいますが、自然の中では鳥や獣のエサになっています。また、死がいは微生物によって分解され、川の中でプランクトンになり、冬季、卵から孵化した稚魚のエサにもなるので、親鮭は死んでも子供のために活き続けているのです。

 

◆浦野川へ「発眼卵の直まき埋設」

今回の活動の為、日本海区水産研究所の飯田さんに技術指導を仰ぎ、長野大学の河川生態学のゼミ生にお手伝いいただきました。自然の産卵床が出来るように川底に深さ10~20センチの穴を掘ってくぼみを作り、そこにパイプを突き立て、漏斗から発眼卵を入れて川底に埋設しました。

浦野川での発眼卵の直まき-1

浦野川での作業風景

 

この埋設は浦野川で16ヶ所、親水水路で16ヶ所、合計32ヶ所の埋設を、初めてでしたが何とか終えることができました。

親水水路での直まき作業風景

 親水水路での作業

この頃になると太陽も傾きかけて、上田道と川の駅の象徴である岩鼻に隠れ始め寒くなり始めます。やはり12月の信州は寒い、ブルブル。

太陽が岩鼻に隠れ始めた中での測量作業

 太陽が岩鼻に隠れ始めた中での測量作業

 

作業を終えて北を見ると冠雪した浅間山が望めた。

北に冠雪の浅間山が見える

 

作業終了後、お手伝いをいただいた皆さんと記念撮影を行い解散しました。

上田 道と川の駅 おとぎの里の石井さん、長野大学の高橋先生と河川生態学のゼミ生の皆さん、日本海区水産研究所の飯田さん、軽井沢の沼田さん、ありがとうございました。調査経過は随時お知らせさせていただきます。

参加者の皆さんと一緒に、道と川の駅前で記念撮影

 

今回の発眼卵埋設放流の結果は3~4年後、千曲川に鮭が戻ってきて始めて証明されるものです。今後は発眼卵が順調にふ化して行くかを、今回上田 道と川の駅 おとぎの里の皆さんと一緒になって、浦野川に設置した河川水温の変化を来月中旬にデータ回収に伺いたいと考えています。

 

2013年   鮭の発眼卵育成-1に続く

 

※この活動は三井物産環境基金の助成を受けて行っています。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください