天童の水便り-2       須藤 敏彦

水が少ないから、さくらんぼとイバラトミヨです】

雪ダムは西に高く、東に低い村山盆地。最上川は、米沢盆地~村山盆地~新庄盆地~庄内平野、そして日本海へ注ぐ。我が家はその途中の村山盆地にあります。村山盆地は中央を南から北へ最上川が流れ、西側から寒河江川など、南東から須川東側から馬見ヶ崎川、立谷川、乱川などが流入し、盆地を形成しています。

さて、村山盆地の特産は、さくらんぼ等があります。

さくらんぼは降雨が少なく、朝気温が低く、日中高いこと、これが最低条件です。この条件で特産となったのが、山形名物さくらんぼ佐藤錦です。

山形のさくらんぼは、生産量日本一、全国の約6割を占めています。特に村山盆地の東根市、寒河江市、天童市が多く、さらに東根市ではこの時期イベントが、多くあります。さくらんぼマラソン、種飛ばし大会、など。

さて、さくらんぼと水辺の関係は?実はおおありなのです。

乱川扇状地内は、乱川、村山野川、白水川などやや大きな河川があるものの、積雪が小さく、渇水時の流量は、ちょろちょろ。(盆地東方面)、明治政府が全国でさくらんぼの栽培に取り組み、成功したのがここ村山盆地なのです。村山盆地は初夏気温が高く(40.8度)、日かく差が大きく、ちょと土を掘れば、玉石がごろごろ。つまり、水なしで育つ果樹なのです。(原産は中央アジアと言われています。)

 さくらんぼの果樹等が多いという事は、水田にする程河川より取水出来ない。つまり、乱川等の流水は、非常に少ないという事になります。扇状地内を流れる河川の流水は、ほとんど伏流し、表流水は非常に少なくなります。

 その扇端部で、伏流した水が湧水します。そこに、イバラトミヨと言う、大きさが46cmの小さな魚で、背中に9本前後と脇腹に一対のするどいトゲを持つ淡水魚が生息しているのです。

イバラトミヨは絶滅危惧種に指定されており、棲息池では保護活動がなされています。氷河期の生き残りとされるイバラトミヨ。天童市高木地区では、イバラトミヨ保存会が、棲息池の害魚の捕獲、カモの防鳥ネットの管理などを行っています。

天童市高木地区のイバラトミヨは、「イバラトミヨ雄物型」に分類されています。弱い水流、きれいで、年間を通じ水温1213度程度が適温です。まさしくこの近辺は、乱川の伏流水の湧水地帯であり、生き延びるに適合している環境と考えられています。

 

さて、添付の写真は201234日に、高木イバラトミヨ保存会の会員のみなさんが天童市高木地区に生息している、イバラトミヨの害魚の捕獲と妨鳥ネットの補修をしている光景です。

この地域は乱川扇状地の先端部で、扇状地の伏流水が自噴している場所です。その時、池の周りに張った、防鳥ネットの補修もしていました。

イバラトミヨの天敵は、コイ、マス、フナなどの大型魚。そしてカモだそうです。これらは、直接食べるのではなく、イバラトミヨの巣に利用している水草を、荒らしてしまうからだそうです。

つまり、乱川の流水は多く地下に浸透し、それが地上に現れる場所にイバラトミヨが生息しているという事です。

まとめれば乱川上流域は、流量が少なく水田は少し。果樹が多く、果物が主。下流は、果樹少なく、水田多い。乱川下流域は、最上川の氾濫域とかぶっている。

つまり、村山盆地は、中央を流れる最上川本川に、東西からやや大きな河川が直角に流入している。

しかし、各河川は、通常流量が少なく、特に東面は、少ない水をおたがいが協調し利用している、となります。

次回は、村山盆地のあれこれを紹介したいと思います。 

 イバラトミヨは新潟の五泉市周辺では「トゲソ」と呼ばれ、NPO法人五泉トゲソの会さんが保全活動に取り組んでいます。(事務局 加藤)

 

 

 

 

 

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください