水辺ツアー報告 1日目:富山市の街づくりのコンセプトを学ぶ  会員 高橋照子

富山市のまちづくりのコンセプトはなんと言っても、「公共交通の充実」と「コンパクトシティ(街中居住、中心市街地の活性化)を目指している」ことです。個人的には、昨年「地域再生塾」が富山市で開催され、その塾に参加したので、市長さんから直接話もお聞きすることができました。その時の話もおりまぜながらの報告になります。

 

①公設、民営のLRTとほかの交通手段

ライトレールは市内環状(セントラム)と港湾方面(ポートラム)の2線があり、通常乗車は大人200円ですが、パスカを購入すると160円になります。65歳以上は100円です。デザインは洗練され、しかも何種類もあり、他社交通にはないかっこよさ。車両そのものは新潟で造られているのに、新潟で使われないのはなんでか!非常に悔しい思いをするのはきっと私だけではないはずで、乗った新潟人は皆同じ思いを味わうのか……朝晩の通勤時間帯は10分に1本、昼間は15分に1本間隔で、5時台から23時まで運行しています。

市から運営の補助金は出るが、会社からの固定資産税は入るので、市長いわく「交通弱者の足の確保を考えれば、差し引き1日十万円の補助金はお安いもの」だそうです。ほか地方鉄道と路面電車もがんばって営業しています。ライトレールから外側へはフィッダーバスに乗り換えます。ほとんどフラットな駅から脇にすぐバス停があります。

レンタサイクルは30分無料ですが、保険的(盗難、破損)対応にクレジットカードを持っているものが登録し、パスが発行された者に限り使用できます。なのでぷらっと行った観光客は借りることができません。現地の高校生もだめです。欲を言えば後2者に貸し出しができるシステムをお願いしたいなあー。

 

②岩瀬のまちづくり

北前船廻船問屋「森家」(国指定重要文化財)をはじめ、桝田酒蔵の蔵などの商家、問屋、旧家が数々残る「伝統的建造物群保存地区」。冨岩運河沿いに3年の期限で持ち主からの申請により徹底的に整備したそうです。桝田酒造の若社長は手放される邸宅や蔵を買い取り見られるよう、使えるよう改装しています。その財力には驚かされますが、市も細かいことは言わず、ある程度の基準にあっていれば補助金は出したので、人も歩く街並みになっています。社長の理念は美しいことは大切なこと。「学校でさえも、記念写真を撮るときに、撮りたくなるデザインでなければならない」と言っています。

 

③冨岩運河「中島閘門」、環水公園

通船川の山の下閘門と同じ、水位調節のための閘門で文化財になっています。あいにく閘門が開くのは見ることができませんでしたが、これが文化財なら閘門の規模的にも通船川の方が上だなあーとごめんなさいね。

環水公園は良く整備されていて、信濃川周辺も見習ってほしいというお手本のようです。駐車場はある、おしゃれなスタバもある、これは人前結婚式の会場としても使えそう。惜しむらくは、民間運営の船がないのは残念です。富山市には、いや県か?ウオーターシャトル方式を提案したい。

 

④富山市長の談話

何しろ行政書士、司法書士であった市長の意気込みが半端でありません。1時間の講話。広がってしまった新潟とは違い、将来の人口減と高齢化に向けコンパクトな町を目指している。

公共交通の充実への施策もそのひとつですが、まちなか居住推進事業は、市民向けのもの事業者向けの支援策があります。指定された地区に新居を構えると補助金が出る。お金の持ってきかたがうまい。徹底して、集中して事業を行うのでお金を出す国にも、市民にも結果が見えるいい循環になっています。

現在、中心市街地はまだ衰退していますが、前述のまちなか居住施策と市街地マンション建設の推奨と公共交通の充実で10年後には成果が見えるでしょう。また、県外からの富山県立高校への編入制度を緩和することを県に働きかけることで、企業誘致を進めるという市長の私案です。「家族一緒に安心して住めるまち」が「富山の企業誘致の切り札」です。なにげに昔から豊富な水を利用しての水力発電は国内2位で有数の工業立県。1位は翌日の長野県です。     2日目へ続く

 

3 comments

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください