第2回「信濃川・環境大河塾」ツアー その2

その1はこちらです。

○水内ダム。昨年はダム下流のたまりに、数尾の巨大な(60~80cm)鯉の魚影が見えた。高水温でも生きるホットコイに感心したが今年は大雨での放流で、写真比較でもその差は歴然だった。ダム上流の町は街なかの道路が水没したことがあるという。左岸に屋形船と乗り場があった。

 

○平ダム。半地下の発電所のあるダム。いつもは数キロ先に放流するので流れはない。

○生坂ダム。ここで上流からのゴミをシャッターアウトするので相変わらずゴミが多い。

昭和電工のダムから1.3t/sの維持流量が流れてくるのでその分は取水発電に使えないのでダムに穴を開けて下流に放流している。今回は大雨で水門も開いていたため川幅一杯に流れがある。

ここで上流から来た維持流量に配慮した1.3t/sが、維持流量として次のダムでも配慮され次々とダムを通り小田切ダムまで流れるものだと素人の我々は思うのだが、次のダムでは配慮しなくてもいいという、納得しにくいルールがあると聞く。ワークショップではこの1.3t/sが話題となった。

 

○聖山パノラマホテル(1200m標高)のスキーロッジ風のホテル泊。加藤スーパー事務局長が事前段取りの道中でたまたま見つけたホテル(といっても川沿いから30分登る山頂にある)でアルプスが一望の星がきれいな場所とのこと。当日は雨模様でガスの中でした。

翌日はホテルの大広間での大河ワークショップ。東京電力㈱の方4名の『長野県内の水力発電の概要』の説明。東電の方々に感謝です。

大熊先生のミニ講義、「川やダムへの価値転換」で始まる。(テーブルの上には、東京から参加のIさんの気遣いで、シシウド、ツリフネソウ、キバナツリフネソウなどの野草の花が飾られている)

 

大熊先生から、「川やダムへの価値転換」のキーワードとして、

1. 近代技術の限界の再認識、・・・原発の使用済み燃料、ダム堆砂、自動車への過度な依存の都市計画など近代技術の限界は認識されてきたが、慣性力が強くて転換できないできた。

2. 3・11は転換点・・・自然再生エネルギーへの傾斜、だけど水力発電は川に少し水を返して!

3. 自然との共生 -良寛の思想に学ぶー・・・国民総幸福量(GNH)の再認識。ブータンでのGNHチェック項目は、1心理的幸福、2健康、3教育、4文化、5環境、6コミュニティ、7良い統治、8生活水準、9自分の時間の使い方

●ここからワークショップが始まる。グループ討議は、5つのチームに分かれて実施。山岸、小宮山(国際情報大准教授)、相楽、風間、和田の5名でおこなった。

1:あなたにとっての川とは? /思い出・記憶。2:見学したダムの感想 /現地評価と問題・課題。3:大震災後のダム川の将来を考える /犀川を重点の視点から提案

 

 

   

今回のツアーを、小宮山国際情報大准教授から「2杯目のビールは1杯目ほどうまくないが、大河塾は2回目がもっとすごかった」という小宮山流のビール的評価があった。

参加者の年齢(大学生から80数歳のIさんまで)から、学生、元市長、市会議員、新聞社論説委員、行政、電力会社の現役、OB、市民運動家、企業の元CSR担当者、ミュージシャン、研究者など多彩だった。

第2回大河塾は、大震災後であること、脱原発などエネルギーが大きな話題になっている中で水力ダム発電という現実も見ながらひとり一人がどう考えるか、緊張感のあるワークショップになった。

結果として、①維持流量と②魚道のあり方が、全体ワークショップでの最終的な議論になった。

行政の決めた維持流量に対して、市民が提案した流量を、河川管理者と協議しながら検討し、川に流す流量を決めていく『納得流量』が話題になった。第3回が楽しみである。

※この大河塾は、三井環境基金の助成支援で参加者の負担が低くなっている。第3回からは全額自腹での参加になるが、その魅力のある塾としていくことが課題となっている。当事者の参加と受益者の消費者、川沿いの人々の参加での有意義な大河塾としていくことが期待されている。

文責相楽(副代表)

 

 

One comment

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください