2日目-4 黒部ダムよさらば   事務局 加藤 功

朝8時より案内をいただいた元野主任に黒部ダム駅でお別れし、これから先は関西電力の加藤さん、中濱さんの案内で黒部ダム見学に向かった。てっきりダムの上に出るかと思ったが表に出ないでそのままトンネルに入って説明を受けた。

 
黒部ダムは、堤高186mと国内で最も堤高の高いダムである。
中部山岳国立公園内の3000m級の山々の中にコンクリートのダムがそびえているが、堰堤の曲線と観光放流が自然の雄大さの中でそれ程違和感を与えていない不思議なダムである。

黒部ダムの建設は、戦後の電力不足解消のために計画され、北アルプスの真っ直中、秘境黒部に、当時としては世界的に見ても有数の規模の巨大アーチダムを建設したもので、多くの困難を克服して完成した画期的な大事業であったと言われている。

 
アーチダムは、水圧を両岸の岩盤で支える構造で、ダム自体の重量を必要とせず、ダム堤体を薄い構造とすることができる。特に、黒部ダムは、平面的にアーチ型になっているだけでなく、垂直断面が上部になるほど下流側に傾斜し、オーバーハングする形の、ドーム型アーチになっている。このため、体積は非常に少なくてすみ、重力式ダムと比較すると体積は6割強ですむことになる。その分コンクリートの使用量を減らすことができ、経済的であったが、一方では、設計に当たって高度の技術的検討が必要であったと説明があった。

 
更に当時、世界銀行より総工費513億円の約1/4に当たる133億円の融資を受けるため、多くのダム強度試験を重ねて成功したという。その後秘密の場所で水しぶきをと共に感動を浴びたのち、ダムを見渡せる高台の展望台にたどり着いた。

 

この度の未開放黒部ルート見学では、関西電力北陸支社木グループの加藤雅広チーフマネージャーと中濱祐一さん達にお世話になりました。ありがとうございました。しかしそれ以上に、この設備を維持管理している技術者、工事に携わる下請けなど多くの方々からの支えによって水力発電がなされていることを改めて実感できた旅でした。

 

私たち新潟水辺の会が目指す、鮭などの魚類が産卵し、下降し、遡上できる河川環境と、今回見学してきたダムはそれらを阻むものだが、その中でも自然と技術が共存し、共生できるものから行ってゆくきっかけ作りの見学会はなかったかと思う。

 

3時過ぎの関電トロリーバスで扇沢に下り、宇奈月温泉より迂回して来ていたマイクロバスに皆さん乗り込み、今日の宿泊地・大町のホテルに向かった。 参加者からの感想に続く。

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