2013年 鮭稚魚の市民環境放流活動報告
今年の鮭稚魚の市民環境放流には、大変多くの方々のご参加いただきありがとうございました。
信濃川・千曲川では、平安時代から全国屈指の鮭の産地として知られ、昭和初期までは上田、松本を越えて、さらには梓川の大正池まで鮭が遡上したとの昭和初期の記録もあり、信濃川水系全体の遡上数は30万尾を超えていたと推定されています。
昭和10年代に、信濃川の電源開発事業が開始され、ダム群によって川が塞き止められ、河道の流量が減少することによって、昭和15年には長野県の鮭漁が終焉し、十日町市上流の信濃川でも鮭の姿が消えることとなりました。
私たちの活動は、本来的に豊かな水量を持つ川でありながら、魚が往き来できないという不自然な状態を改善して、千曲川、信濃川を「普通の川」に近づけることを目的にしております。その一環として、鮭が遡上する川の復活を夢見て、2007年の春から、新潟県内の信濃川はもとより、長野県内の千曲川、犀川で、当該地域の住民、行政、そして小学生を中心とした子供達の参加をいただきながら、“鮭稚魚の市民環境放流”を行ってきました。鮭稚魚の放流は子供達にロマンを与えるとともに、さまざまな科学的な知識と探究心を育んでくれます。
2007年より始め今年で7年目を迎え、今年は3月9日、10日、16日、17日、19日の5日間で信濃川、千曲川、浦野川、鳥居川、馬曲川などで老若男女858名の参加を得て16万尾の稚魚放流を行ないました。そして、7年間の合計では、143.5万尾の鮭の稚魚放流となりました。
特に、2013年は、発眼卵約1万粒を上田・千曲川支川浦野川の河床に埋設して、自然な孵化を試み、成果を上げることができました。また、長野の小学校三校に発眼卵を預け、稚魚に育ててもらい、それも一緒に放流いたしました。
鮭の回帰状況は、徐々に増加しており、2012年秋には宮中取水ダム(JR東日本)まで297尾、西大滝ダム(東京電力)まで11尾の遡上がありました。そして、河口から253kmの上田まで、2010年のメス1尾に引き続き、2012年もオス1尾の遡上が確認されました。2013年秋には、500尾を超える鮭の遡上があることを期待しております。
◆◆今回の鮭稚魚の市民環境放流は、三井物産環境基金及び信濃川の沿川市町村(新潟市、長岡市、十日町市、津南町)の助成を受けて行われました。助成をいただいた団体に感謝いたします。
NPO法人 新潟水辺の会事務局
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