2013年 鮭稚魚の市民環境放流(長野県にて)-4 会員 大沢 正隆

3月10日午後の部は、千曲川支川の樽川に流れ込む木島平村の馬曲川(まぐせがわ)にて、木島平小学校の子どもたちと放流です。ここでは小学校の子どもたちが育てた稚魚も放流。ツアー一行は、有名な信濃町のそば処『仁の蔵』で美味しい蕎麦(蕎麦団子や栗のようなカボチャも)をたいらげてから向かいました。

 千曲川北部の支流である馬曲川は、長野・新潟・群馬三県にまたがる三国山脈南西部の連山から流れてきます。そのため雪解け水が多いことでしょう。放流地点より上流には馬曲温泉があり、そこには昭和63年に設置された小水力発電所があります。

 馬曲川稚魚放流

午後1時30分過ぎ、木島平ケヤキの森公園に到着。残雪は多め。すでに木島平小学校の子供達は多く集まっていました。雪で遊ぶ子どもたちも。

 集まった子供たち-1

今回も持田養魚場さんに育てていただいた稚魚を積んだ水槽が到着。子供たちも多くの稚魚を見るのは初めて、興味深々で水槽の中を見ています。木島平小学校で子どもたちが発眼卵から育てた約200尾の稚魚も、学校の水槽から白い発砲スチロールに引っ越してやってきました。旅立ちの準備です。 

 

ケヤキの森公園に到着した稚魚

まずは集合。大熊代表よりあいさつがあり、木島平小学校の関孝志校長先生、木島平村の芳川修二村長、地元高水漁協の森徳壽副組合長様よりあいさつを頂き、鮭の遡上への期待のお言葉を頂きました。

 木島平小学校関校長、芳川木島平村長、森高水漁協副組合長

     木島平小学校の関校長      木島平村の芳川修二村長      高水漁協の森徳壽副組合長

ここでは稚魚の入ったバケツを橋を渡って対岸まで運ぶためレー布陣を敷きます。大人達はできるだけ広がり、相手に渡したり相手から受け取るときに少しだけ動くことを余儀なくされました。それでも尺が足りないので、子供達にも手伝ってもらいました。雪が多いので滑らないか心配しましたが、さすが雪の子、へっちゃらみたいでした。

対岸までのバケツリレーで稚魚を運ぶ

橋を渡ると水辺へおりる階段があります。そこで稚魚を放流開始!。

さあ、稚魚放流

 今回は水槽の水温10.5度、馬曲川の水温5.1度。午前中の信濃町の鳥居川より温度差が少なく、だいぶ楽です。しかし流れはわりと速いので、みんなそろりそろりと慎重に放します。

帰ってきてねとゆっくり放流-1

この中にも、鮭がにおいを覚えて帰ってくることを当てた子供がいます。今回の参加者は子ども30名、大人57名、大勢なのでとても賑やか。

 帰ってきてねとゆっくり放流-2

途中で道に稚魚をこぼしてしまった子がいました。そしたらその子だけでなく周りの子も(私も)一緒になってあわてて手ですくってバケツに戻してました。また、バケツの中にはすでに死んでしまった魚も多く、これ死んでるよ、と言いつつ放流する子どもも。なにか感じるところがあるようですね。

 帰ってきてねとゆっくり放流-3

さて、放流完了です。今回も1万尾を放流しました。こちらの川にも鮭の成魚が戻ってくるときには、小学校のみんなはいくつになってるでしょうか。

 ちょうどいい階段があるので、みんなひな壇式に並んで集合写真。「かえってきてねー!」

さて、長かった長野編も終了です。

 木島平村の馬曲川にて全員集合S

ところで、こぼした魚はすくう、死んでいる魚もいるけど放流する子どもたち。さらに、腹をみせて浮いていても少しさわるとまだ動く魚に安堵したり、浅瀬を泳ぐ稚魚を踏まないように進む…。この放流スポットにかぎったではなくて、すべてのところで見られた出来事です。

それとは裏腹に、こんな小さな魚が遙々ロシアやアラスカまでいってまた帰ってくる、実際に放してみたら早瀬に負けず旅立っていく。

 

切り身や醤油漬けだけでなく、生き物を直接見て、触って、自然に帰して、命のか弱さ・逞しさについて感じてもらう、稚魚放流とは子どもの成長にとてもいいチャンスでは、と思いました。それが卵から育てるなら尚更ではないでしょうか。

 

そして我々はその鮭がちゃんと帰ってくるように河川を見守り、対策やイベントをきちんとコーディネートしなければなりませんし、そのため様々な方に多大なご協力いただいています。長野編は終了し次は新潟編ですが、今回の放流で改善すべきところは改善し、来年またいい放流ができるよう、一同努力していきたいと思います。

 

◆◆今回の鮭稚魚の市民環境放流は、三井物産環境基金及び信濃川の沿川市町村(新潟市、長岡市、十日町市、津南町)の助成を受けて行われました。助成をいただいた団体に感謝いたします。

つづく

鮭の旅S-馬曲川

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